1. ホーム
  2. SiCに関する技術情報>
  3. 基礎知識資料集>
  4. デバイス・プロセス分野>
  5. ウェット酸化(パイロジェニック酸化)

SiCに関する技術情報

ウェット酸化(パイロジェニック酸化)


SiやSiCなどの半導体材料の熱酸化手法の1つであり、酸化種として水蒸気(H2O)を用いる。(これに対し、ドライ酸化では酸化種として(乾燥)酸素(O2)を用いる。)水蒸気の生成法として、純水加熱や酸素ガスによる純水バブリング等があるが、現在では酸素と水素ガスの燃焼反応による水蒸気を用いた燃焼酸化(パイロジェニック酸化とも言う)が一般的である。H2O分子のSiO2中での拡散係数はO2分子に比べて約3倍高いため、ドライ酸化に比べて成長速度が速いことが特徴である。ウェット酸化ではOHやその他の水に関係したトラップが多く存在しており、キャリアを捕獲していないときは中性であるが、電子を捕獲すると負に帯電した状態となり、電子トラップとして検出される。SiC MOS構造では、ウェット酸化によりMOSFETのチャネル移動度の改善が見られる一方、酸化膜信頼性が低下することが知られている。

(先崎純寿)